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国立大学法人 群馬大学
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化学物質の自律的管理

群馬大学大学教育・学生支援機構大学教育センター

I はじめに

 群馬大学では教育と研究を安全に行うために化学物質を法律に基づいて管理し,使用しています。化学物質は教育や研究に限らず身近に存在しています。また,皆さんは,卒業後に各分野で活躍し,社会を牽引する上で,化学物質の取り扱い方法を知っておくことも大切です。ここでは,化学物質の管理方法とリスク評価の考え方を述べます。
 関連する法律(労働安全衛生法[1])は事業所における労働者の安全と健康を守るために制定されています。大学では学生が学修のための研究実験に従事し,化学物質を使う場面があります。そのため,学生も含めた大学の構成員としての対応が必要です。

 

Ⅱ 教育分野ごとの理解の必要性

 大学では,使用する化学物質の種類,量,頻度は分野によって大きく異なっています。
 理系の学生は,研究者の素養としての化学物質のリスク管理を学び,自身の健康を守り,管理者になった時に戸惑わない知識を身につけてください。理系の非化学系の学生も実習や研究の中で化学物質が使われる場合があります。
 教員養成系の学生は小中学校での理科実験,高校での化学実験や生物実験で化学物質を扱う場合があります。また,児童・生徒の安全指導のためにもそのリスクの調べ方を知っておくと良いです。
 医療系の学生は教育課程を通じて実習で様々な化学物質を含む医薬品や検査薬等を使います。社会に出てからは責任ある立場で医薬品を取り扱います。また,化学物質による健康障害を受けた患者の治療にあたることもあるでしょう。高学年でより詳細な内容を学びますので,その時にしっかり身につけてください。
 文系の学生は卒業後の進路は様々であり,各部門でのリーダーになる方も多いでしょう。その時に自律的な化学物質管理に関わることも想定されます。社会人の教養として化学物質管理の知識を身につけておきましょう。

Ⅲ 化学物質に関するリスクとベネフィット

 皆さんの身の回りに化学物質は数多くあります。これらは扱い方により便利にもなりますが,健康被害,損害を被る場合もあります。例えば,消毒用エタノールは,コロナウイルス感染症対策のための消毒・除菌に使います。一方,エタノールが眼に入るとしみる,人によっては手がかぶれるといった健康被害が発生する場合もあります。また,火に注いだことによって火災が発生し人的被害が出たことも報告されています。自分は化学物質を使わない,危険だから使わないようにしようと考えていても日常生活や研究活動で使わなければいけないこともあります。是非正しい扱い方,またはその調べ方を学んでください。
 危険性・有害性を含む化学物質も,作業手順を守り適切な保護具や設備を使用すればリスクを低減させ,安全に取り扱うことができます。

Ⅳ 化学物質の管理

 化学物質は適切に管理する必要があります。その管理方法は法律で定められています。例えば,劇物である硫酸は鍵のかかる薬品庫に保管し[2],可燃性のヘキサンは決められた量しか研究室内に保管できません[3]。また,毒物・劇物の盗難や紛失を防ぐため,保管量を把握しなければなりません[2]。化学実験や化学系の研究室で使用する化学物質は多岐にわたり,保管場所も物質ごとに異なります。群馬大学では管理の必要な化学物質を毎年調査し,化学物質管理システムを導入し管理する予定です。管理方法は,高学年になり研究を始めたときに教わります。

Ⅴ 化学物質に関するリスクアセスメントの意義や考え方

 化学物質を取り扱う上でキーワードになるのがリスクアセスメントです。リスクアセスメントとは,作業における危険性や有害性の特定,災害や健康障害が発生するリスクの見積り,対策の優先度の設定,リスク低減措置の決定の一連の手順をいいます[4]。リスクアセスメントは管理者の指導の下で本人が行います。
 手順は次の(1)〜(4)です。
(1)使用する全ての化学物質の危険性・有害性の確認
 物質ごとにその危険有害性をGSH分類[5]で確認し,取り扱いに関する情報をSDS[6]で調べます。 リスクアセスメントの必要な化学物質はSDS交付が義務づけられていますので,厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」で調べることができます[7]。
(2)その化学物質の使用・操作の方法の確認
 SDS等の記載情報をもとに使用・操作方法を決めます。化学物質によっては,保護具(保護眼鏡や保護手袋など)の着用や蒸気を排気する局所排気装置(ドラフト)の使用が必要です。可燃性である場合には,火気から離れた場所で取り扱います。
(3)使用する化学物質と操作によって生じうるリスクの抽出
 リスクアセスメントの必要な化学物質に対して作業環境中での濃度を測定します(作業環境測定)。作業者ごとにその化学物質の使用量や作業場所からばく露量を見積もり,リスクを把握します。
(4)許容できないリスクが存在する場合,そのリスクを許容できる程度まで低減する対策
 低減の対策は局所排気装置の使用,適切な保護具の使用,危険有害性の高い物質から低い物質への変更などです。
 リスクアセスメントの結果は関係者,特に同じ部屋で実験を行う関係者と共有することが重要です。リスクアセスメントの結果は最低3年間保管します。リスクアセスメントの結果,健康障害リスクが受容される範囲を超える場合は,特殊健康診断を受けます。

 

化学物質に関する法令と主な用語

*法律や規則を調べると,職場や事業所,労働者や従業員という言葉で対象となる場所と人が述べられています。皆さんは,職場や事業所を大学と、労働者や従業員を学生とそれぞれ置き換えて読んでください。
[1] 労働安全衛生法:労働災害を防止し,職場における労働者の安全と健康を守るための法律
[2]毒物及び劇物取締法:毒物や劇物の製造,輸入,販売,取り扱いにおける規制
[3]消防法:火災予防の法律であり,危険物の貯蔵と規制を定めている
[4] 職場のあんぜんサイト(安全衛生キーワード;リスクアセスメント),厚生労働省ホームページ
[5] GHS 分類: 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:GHS)は化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類し,絵表示等を用いて分かりやすく表示し,その結果をラベルやSDS(Safety Data Sheet:安全データシート)に反映させ,災害防止及び人の健康や環境の保護に役立てようとするものです。
[6] SDSとは,安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。これは,化学物質および化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に,その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を化学物質等を譲渡または提供する相手方に提供するための文書です。 SDSに記載する情報には,化学製品中に含まれる化学物質の名称や物理化学的性質のほか,危険性,有害性,ばく露した際の応急措置,取扱方法,保管方法,廃棄方法などが記載されます。
[7] 職場のあんぜんサイト(ラベル・SDS義務対象物質一覧・検索),厚生労働省ホームページ
参考:厚生労働省化学物質管理に関する社内安全衛生教育用 e ラーニング教材

案内(お知らせ)

化学物質と上手につきあう~新入生の皆さんが化学物質について知っておくこと~

 

 

 

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