重粒子線医学研究センター生物部門所属学生の宮﨑陽奈さん、須田裕夢さんが第63回アイソトープ・放射線研究発表会で受賞
2026年7月8日(水)~10日(金)に日本科学未来館(東京都)で開催された第63回アイソトープ・放射線研究発表会において、医理工レギュラトリーサイエンス学環博士前期課程1年生の宮﨑陽奈さんが「低酸素りん光プローブBTPDM1の放射線耐性と照射後の細胞内取り込み評価」でポスター賞を、医学部医学科6年生の須田裕夢さんが「炭素線超高線量率照射による腫瘍細胞と腫瘍組織における生物学的効果の解析」で若手優秀講演賞を受賞しました。
宮﨑さん、須田さんならびに直接研究指導教員の吉田由香里先生、おめでとうございます。
宮﨑陽奈さんコメント:
固形腫瘍内には酸素濃度が低い領域が存在し、その領域の細胞は放射線治療に対する感受性が低いことが知られています。放射線がん治療の効果向上には、腫瘍内の低酸素領域を正確に把握することが重要です。そこで、本学理工学府の吉原利忠先生が開発された低酸素りん光プローブであるイリジウム錯体BTPDM1に着目しました。BTPDM1は酸素による動的消光を利用し、りん光によって低酸素領域を可視化できるプローブですが、放射線分野での応用例はなく、放射線照射による影響も明らかになっていませんでした。そこでまず、BTPDM1の放射線耐性を評価しました。その結果、BTPDM1は放射線照射後も安定して機能することが確認され、放射線生物学の基礎研究への応用可能性が示されました。
医学と理工学を融合した研究を通じて得られた本成果をさらに発展させ、今後も放射線がん治療の発展に貢献できるよう研究に励んでいきます。日頃よりご指導いただいている吉田由香里先生、髙橋昭久先生、共同研究者の吉原利忠先生に心より感謝申し上げます。
須田裕夢さんコメント:
放射線を通常の100倍以上の超高線量率で照射すると、抗腫瘍効果を維持しつつ、正常組織への副作用を軽減できることが知られており、新たな照射法として臨床応用への期待が高まっています。この現象は「FLASH効果」と呼ばれていますが、その詳細なメカニズムは未だ解明されていません。
本研究では、抗腫瘍効果をもたらすメカニズムの1つとして免疫機構に着目し、照射後のマウス脾臓のイムノフェノタイピングをフローサイトメトリーを用いて解析しました。単なる免疫の活性化だけでなく、制御性T細胞(Treg)や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)といった免疫抑制を司る細胞群の動態にも踏み込んで評価した点に、本研究の非常に高い新規性があると考えています。
この度の受賞を励みに研究をさらに発展させ、卒業後も医師・研究者として放射線生物研究に積極的に取り組み、将来のがん治療の発展に貢献できるよう励んでまいります。

左:口演中の須田さん、中央:賞状を手に、右:ポスター発表中の宮﨑さん