【プレスリリース】インスリン産生膵β細胞を調節する受容体の役割を解明 ~二つの異なる作用で膵β細胞の機能維持に寄与~
生体調節研究所代謝疾患医科学分野の白川純教授らの研究グループは、インスリンを作り出す膵β(ベータ)細胞における「IGF2R(インスリン様成長因子2受容体)」という受容体の新たな役割を発見しました。IGF2Rは成長因子IGF2を分解する一方で、リソソームへ酵素を輸送する働きを持ちます。今回、IGF2Rを欠損するとIGF2の蓄積で一時的に増殖は促進されますが、インスリン分泌は低下し、肥満や糖尿病状態ではむしろ膵β細胞数が減少することが明らかになりました。その背景にはオートファジーという細胞のリサイクル機構の低下が確認されました。また糖尿病ドナー由来膵島ではIGF2R mRNAのm6Aメチル化が低下しており、IGF2Rの発現異常が病態に関与する可能性が示唆されました。これらの結果から、IGF2Rは、細胞外IGF2量の調節やオートファジーのコントロールといった2つの異なる役割で、膵β細胞を守る調節因子であり、糖尿病治療の新たな標的となることが期待されます。本研究の成果はDiabetes誌(American Diabetes Association:米国)において公開されました。
・雑誌名:Diabetes誌(American Diabetes Association:米国
・公開日:2025年10月3日
・タイトル:Regulatory roles of IGF2R in insulin secretion and adaptive β-cell proliferation.
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