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研究紹介
Introduction to one of the GU Research !

- ABO 式血液型の謎 -

群馬大学 大学院医学系研究科 法医学講座

准教授 佐野 利恵 先生(医学博士)

佐野 利恵 准教授 プロフィール
ABO式血液型は輸血医療になくてはならない検査で、法医学でも使われます。それは、「この血痕が誰に由来するものか」などといった個人識別のツールとして役立つからです。また、日本では、多くの人が自分の血液型を知っており、遺伝することもよく知られています。しかし、血液型の正体についてはよく知られていません。
01そもそもABO 式血液型って何?
ABO式血液型

その正体は簡単にいうと、血液中の赤血球の表面にある、糖の連なりです。その構造の違いをA型、B型、O型と呼び分けています。もう一つ重要なポイントが、ABO式血液中の上澄み成分を「血漿」といいますが、各血液型にある「抗体」です。「抗体」は菌やウイルスなどの自分にとって異質なものに結合し排除する、体にとって大切な免疫の仕組みを担っています。人は、自分の持っていない血液型物質を異物と認識する「抗体」をもともと持っているため、違う血液型の血液を輸血すると、この「抗体」が作用し、赤血球を壊してしまうのです。このため、輸血には血液型を合わせて行うことが求められます。

02血液型の違いは、どうして起きる?
ABO式血液型の違い

ABO式血液型が遺伝する、ということはご存知の方も多いかと思います。血液型に関する遺伝情報、すなわちABO遺伝子が親から子に受け継がれます。遺伝子、とは、簡単にいうと細胞や体を形作る様々なタンパク質の設計図のことです。そして、ABO遺伝子は糖と糖をつなぎ合わせる働きをもつ酵素の設計図です。その結果できる酵素については、まず、血液型の土台となる糖の並びが、②フリップ中、緑色で示されています。A型ではA遺伝子から作られるA酵素によりN-アセチルガラクトサミンという糖が一つ新たに加わります。B型のひとがもつB遺伝子はA遺伝子の情報とごく一部が異なるため、B酵素は、働きが少し変わり、ガラクトースが加わります。その結果できあがったものをB型と呼んでいます。O遺伝子は遺伝子情報が一文字抜けただけで、糖をつなげる力のないタンパクができます。よって、新たに糖は加わりません。このように、持っている遺伝子情報の一部が個人間で異なっているため、A、B、O型の違いが作られます。考えようによっては、O型の細胞はA型、B型の細胞に比べて、糖をつなげる作業が一つ少ない分、ほんの少しだけ楽をしているのかもしれません。

03赤血球以外の部位でも、 ABO式血液型は現れます
ABO式血液型の発現

ところで、血液型は赤血球だけでなく、唾液、胃粘膜にもあることから、これらを 使った血液型判定も行われます。一方、神経や筋肉にはABO式血液型物質はありません。つまり、血液型物質は細胞の種類によって、オンオフが調節されているという特徴があります。このメカニズムの秘密を私たちの研究室で明らかにしています。

04血液型によって性格などに差がでるとよく言われますが、関係はある?
ABO式血液型の発現

確かに、血液型の研究をしていると、血液型と性格の関係について質問を受けることもあります。神経細胞にはABO式血液型がないことも含め、現状でその質問を肯定できるデータを持ち合わせていませんが、今後、血液型と性格についても私たちなりの切り口で調べてみたいと思っています。

一方で、興味深いことに、血液型と病気のなりやすさが関係するという報告が世界でなされていることです。たとえば、O型は、A、B、AB 型に比べて心筋梗塞やエコノミークラス症候群などの病気になりにくいと言われています。その反面、O型の人は血がとまりにくい、ということです。また、癌と血液型の関連についても多数報告がありますし、癌などで細胞に何らかの異常が生じると、血液型物質の量が減り、血液型が変わったように見えるといった現象もあり、現在注目して研究を行っています。

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05遺伝子検査ビジネス

最近テレビなどでは、遺伝子検査、という言葉を耳にすることがあると思います。先ほどお話しした、血液型と病気の関係もそうですが、その他の様々な遺伝子について、個人間で異なる遺伝子情報と病気や体質との関係が明らかになっています。また、技術の発達により、迅速に安く遺伝子の情報を調べることが可能となっています。そのため、これらを生かした遺伝子検査ビジネスが急増しています。このような遺伝子検査は、唾液や髪の毛を送るだけの手軽さから、人気を集めています。この得られた情報を生かして、予防医療やオーダーメイド医療が進むと期待されています

ただ、検査の品質や精度が確保されるのかという点が懸念されていますし、個人の遺伝情報はまさにその人自身であることから、それらの情報が適切に保護される必要がありますので、今後、これらの問題点が解決されることを期待します。

ABO 式血液型は、私たちにとって身近な血液型であり、身近に「遺伝」を感じるものであると思います。血液型について、未だにわからないことも沢山あります。私たちのABO 式血液型の研究が今後、幅広く医療に貢献出来ることを期待しています。
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