2010年度地域貢献事業
医学部 下肢障害者補装具情報提供プログラム

2010年度地域貢献事業

担当者 : 医学部(保健学科) 山路雄彦 准教授

事業概要

下肢に傷害を有するものにとって、歩行などの運動制限は、健康維持に重要な体力、心肺機能低下を招くだけでなく、地域コミュニティーの一員としての社会的活動の妨げにもなっている。義足や下肢装具などの補装具は、歩行障害を有する者にとって、これらの諸活動を遂行する上で必要不可欠なものである。しかし、補装具の情報は、ユーザーである障害者にはほとんどもたらされていない実情がある。走行などの高度なスポーツ活動が可能な下肢障害者に、最新の補装具を使用していただき、主観的、客観的な評価を行い、得られた知見を一般の地域在住障害者(小児から高齢者まで)に補装具の情報提供を図るものである。

実施事業等

下肢障害者が使用する補装具の中で、大腿切断者が使用する大腿義足、脳卒中片麻痺患者などが使用する短下肢装具の特徴を明らかにした。①大腿義足の装着時の筋活動および切断端の感覚とソケット内圧の関係を調べた。生体では膝関節に相当する膝継手の制御(膝折れ防止)のために、義足の踵接地時にソケット内圧および筋活動が高まり、切断端の感覚が鋭敏になることがわかった。②大腿義足での日常生活を調査した。その結果、若年者は、義足装着時間が長く、主に義足装着時の対応が必要であるが、高齢者は義足脱着後の日常生活での対応が重要であることがわかった。③走行用大腿義足において、ソケットと膝継手の連結部の角度設定が走行能力に重要であることがわかった。④脳卒中片麻痺患者が、使用することの多いプラスチック短下肢装具のデザインや装飾性について調査した。ADLの機能向上には重点が置かれるものの、デザインや装飾性は軽視されている傾向にあった。これらの内容の小冊子やホームページを作成して周知を図る準備中である。

期待される成果

①大腿義足の膝継手とソケット内圧の関係から、若年者と高齢者での膝継手の求められる機能が異なることがわかる。大腿義足を利用してのADLでは、基本動作能力における機能だけでなく、年齢も考慮する必要がある。②高齢大腿切断者では、義足脱着後のADLの指導が重要であることがわかった。とくに夜間のトイレ動作、入浴動作などの指導が適切に指導される必要がある。さらに健側下肢の可動域や筋力にも注意する必要がある。③義足走行を支えるためには、可動域や筋力もさることながら、ソケットと膝継手を連結するパーツの調整が重要であることがわかった。これらのことは、様々なレベルの切断者にも、その年齢、障害に応じたパーツ調整やADLの指導をすることで有意義な生活を送れることを示している。さらに④から単に機能を追うだけでなく、デザインや装飾性にも注意を払う必要があり、小冊子やホームページで補装具の特徴や現状を提示することにより、下肢障害者に対して生活の質を上げることが可能である。