2010年度地域貢献事業
医学部 在日ブラジル人学校の児童・生徒に対する健康支援プロジェクト

2010年度地域貢献事業

担当者 : 医学部(保健学科) 齋藤智子 講師

事業概要

群馬県は東毛地域を中心に全国でも有数の外国人集住地域がある。それらの地域には複数の在日外国人学校が設置され、子どもが在学している。在日外国人学校の多くは日本の学校保健安全法の適用とならないため、日本の学校で行われているような定期健康診断等の健康支援システムがない現状がある。我々は在日外国人学校に通う子どもに対しても、日本の子どもと等しく保健サービスを受ける権利を保障し、子どもの健やかな成長・発達を支援する必要があると考えている。本学では、平成14年から地域貢献の一環としてモデル的に健康診断(以下健診)及び健康相談に取り組み、実践のためのノウハウを蓄積してきた。今後は在日外国人学校が主体的に子どもの健康支援を実施できる方策を検討する必要がある。

そこで本プロジェクトでは、子どもたちへの健康支援の機会を確保するとともに、その健康支援活動に学校がより主体的に関与し、継続的に実施できるシステムづくりを図ることを目的とした。具体的な事業内容として、我々スタッフが在日ブラジル人学校に出向き、学校の物的・人的資源も活用しながら健診及び健康教育等の健康支援活動を実施することを試みた。

実施事業等

群馬県東毛地域にある在日ブラジル人学校1校(以下ブラジル人学校)に通う児童・生徒約120名を対象に健診及び健康教育を実施した。

健診は、本学職員及び地域の歯科衛生士、ボランティア、通訳のスタッフで実施した。健診項目は一般健診と歯科指導とした。会場は、ブラジル人学校の校舎を活用して実施した。健診実施にあたっては、準備から実施の過程でできるだけブラジル人学校の教職員の協力を求めながら行った。

健診の結果、子どもたちの健康課題として「う歯の疑い」や肥満傾向の児が多い等の課題が見られた。また問診内容の中から偏った食生活の実態や生活リズムの乱れ等も把握された。そこで「健康づくりのための食事の取り方」をテーマに健康教育を実施した。

健康教育は、地域の管理栄養士の協力を得て実施した。方法は、子どもの成長・発達や理解度に合わせて子どもを学年ごとのグループに分け健康教育を実施した。内容は、主にバランスのとれた食事との間食の取り方とした。

健診、健康教育の実施内容、方法とも子どもたち及び教職員に非常に好評であり、今後の継続的な実施の可能性を見出すことができた。

期待される成果

今回、在日外国人学校が主体的に健康支援活動に取り組んでいくための方法としての1つのモデルケースを示すことができた。今後さらに実施した内容、方法を学校側とともに評価し、健診機関・スタッフが在日ブラジル人学校に出向いて健診や健康教育を実施するためのノウハウと学校が実施すべき環境整備の内容を検討していく。それによって、より具体的で、実践可能な在日外国人学校における児童・生徒への健康支援活動の展開方法を提示することができる。

また、今まで健診等の健康支援を主催することは財政的にもマンパワー的にも困難としてきた自治体に、現実的に実施可能な方法を提示することで、在日外国人学校の児童・生徒の健康管理に対する自治体の関与につなげることができる。

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