2010年度地域貢献事業
医学系研究科,医学部附属病院 地元防災・警察と連携した救命救急・高度医療技術の山村地域への提供訓練事業

2010年度地域貢献事業

担当者 : 医学系研究科(麻酔神経科学),医学部附属病院(集中治療部)(救急部) 齋藤繁 教授

事業概要

本学を取り囲む地域の方々は、大学の医療従事者養成機関、救急医療を含む総合的医療サービス提供機関としての機能に大きく期待を寄せている。特に山間部や過疎化の進む辺境集落においてその傾向は顕著であり、社会的にも自然環境的にも厳しい状況にあるこれらの地域に、高度な医療が疾病や事故、災害が発生した当初から迅速に提供されることを希望している。また、辺境の事故・災害発生現場に本学の医療技術者が積極的に出向き、現地から高度な医療サービスを開始することを求めている。

疾病や障害が積極的な加療を必要とする時でも、通常は、本学医学部附属病院を含む地域の病院・診療所に来院し治療を受けるが、事故や災害発生時、夜間休日の病状急変時には、自力で病院へ短時間で到達することは困難である現状がある。そうした方々に加え、群馬県の豊かな自然環境を楽しむために外部から訪問される方々にも同様の不安がある。

このような厳しい環境においても、医学知識と経験の豊富な病院スタッフが、機動性の高い特殊な救急救命トレーニングを積み、さらにその活動を積極的に地域においてアピールすることによって、地域における本学への信頼が高まり、併せて地域住民の危機対応能力が高まると考えられる。本事業では本学医学部附属病院の急性期医療担当者が、地域の団体と協力して、辺境地での救命救急医療活動を修練・広報する。

実施事業等

医療関係者から自治体観光ガイド等に対して、有疾病者に対してガイドを行う場合の医学的注意事項を直接講義することにより、そうした方々の現場での救護能力増強を図った。そして、両者による合同トレーニング等を企画することにより、情報交換の場も提供した。こうした活動を報道を通じて広報することにより、当該地域の安全に対する高い意識を県外に広くアピールした。これまで、医療機関内での講習会、自治体主導の担当者のみによる市街部での災害演習などは定期的に行われてきたが、僻地、とくに山間部と市街部の担当者の交流、地域住民を巻き込んだ本学医療技術者との合同演習はほとんど行われてこなかった実情を考えると、今回の企画は新たな試みと考えられる。

本学大学院医学系研究科ならびに医学部附属病院のボランティア医師・看護師の集団である屋外行事医療支援チームは、屋外活動時の医療支援を継続的に行っている。今回の実技演習は、これらの個別的チーム活動の発展型として、附属病院救急部・集中治療部との共同で、自治体の防災・警察担当者、地域の皆様方と本学との共同事業として、全国からの見学者も受け入れて大規模に実施した。「現場から開始する高度救急救命演習」、ならびに、「地域住民現場救急処置レベルアップ講座」等では、本予算措置によって購入した、広報用緊急用救助グッズや、救急救命器具を使用した。

期待される成果

群馬県の山村部住民や自然環境を訪れる多くの人々の救護能力を補助することは、超高齢化地域の住民の健康増進・健康管理に直接的な利益があるばかりでなく、訪問者や受け入れ者にも高度な利便性を提供すると考えられる。そして、地域のイメージアップ、活性化にも大きく寄与すると考えられる。山村・辺境エリアでの医療活動がたびたび報道関係に取り上げられて来たことを鑑みても、屋外活動における健康管理は国民の強い関心事であり、それに防災担当者・警察・地元自治体と共同で取り組むことは自治体と本学の社会貢献度を一層高めることが期待される。

さらなる波及的効果として、群馬県の地域住民(特に高齢者や有疾病者)の医療環境を改善しようという社会的機運を盛り上げること、地元でガイド・救護等を担当するスタッフの知識、技術を向上させること、群馬県の豊かな自然環境を楽しむために訪れる人々に発生しうる健康障害を最小限に抑えること、などが今後期待される。

大学への効果として、本学の健康増進に関する啓蒙活動をわかりやすい形で地域社会ならびに自治体関係者にアピールする、本学学部学生の地域への愛着を深め、併せて初期医療への積極的な姿勢を通じて、本学関連医療機関での卒後研修意欲を醸成する、などの効果もあったものと考えられる。

地元防災・警察と連携した救命救急・高度医療技術の山村地域への提供訓練事業