2010年度地域貢献事業
教育学部 教育改革・群馬プロジェクト

2010年度地域貢献事業

担当者 : 教育学部 小池啓一 学部長・教授

事業概要

本学部と群馬県教育委員会が喫緊の教育課題を解決するために研究部会等を設置し、以下の事業を実施し実践研究の推進と研究成果の学校現場への還元を図る。各部会等の総括担当者を中心に研究を推進し、年度末に研究経過をまとめるとともに、次年度の方向性を定める。

【実施事業】

  1. 小学校外国語活動モデルカリキュラム
    平成16~21年度には、「英語教育(小学校英語活動)充実のためのカリキュラムデザイン」をテーマとし、新たに「総合的な学習の時間」で英語活動が様々な形で実施され始めてから、平成23年度の「英語活動必修化」に向けた動きが開始されるまでの過渡期の動向に合わせて、以下のような取り組みを行ってきた。
    (1)県内小学校の様々な取り組みの状況、課題、ニーズの把握のための実態調査と分析
    (2)(1)に基づいた学校現場への支援としての公開講座、ワークショップ、フォーラムの実施
    (3)(1)に基づいた教員養成での手立てとしての小学校英語教育関係授業の開講と充実
     現段階では、小学校英語活動の全面実施を目前に、以下の2つの課題が浮き彫りとなった。
     ①小学校英語活動における取り組みのばらつきの改善と充実(全小学校の教師の指導力向上)
     ②小学校英語活動と中学校英語教育の円滑な接続(中学校英語導入期を中心として)
    今年度は、これらの2点を主な研究課題とし、現場の状況に関する情報を収集し、それに基づきながら、学校現場への支援と教員養成における手立ての在り方を究明していく。今日では、英語活動と英語教育の双方で「ALTとのティーム・ティーチング」が重要な役割を担うことから、これまで同様、その指導力や指導方法にも焦点を当てて研究を行う。また、附属小・中学校を研究の協力校として、実践研究を継続する。
  2. 小学校における体育授業プログラムの開発
    群馬県公立小学校教員の体育授業に関する実践的指導力を高めるため、平成21年度までに作成された小学校体育授業における陸上運動領域の新しい授業プログラムを実際に実施し、評価を行なうこととする。
  3. 「子育て学習プログラム」における相互成長モデル構築
    相互成長モデルは、コミュニティ内で課題解決に必要な情報、考え方、技能についてワークショップにより学習し、相互コミュニケーションへの転換により構築される。
    本部会では、ワークショップにおける参加者の気づきを促し、児童生徒の問題行動への予防的なアプローチとして、家庭での子育てを支援する。
    今年度は、「子育て学習プログラム」の評価により相互成長モデルの検証を行い報告書の作成を行う。
  4. 特別支援教育の充実
    国・県による「発達障害等支援・特別支援教育推進事業」の一環として県内の多くの学校で取り組まれている「特別支援教育に関する研修会」の成果を検討すること、群馬県総合教育センターの長期研修員や本学に派遣されてきた現職教員が学校現場に戻ってから取り組んでいる教育実践の実態を把握し検討することなど、研修の成果を検証する。また、これまで2回実施した「実践交流会」は、参加した教員にとって、幼稚園から高等学校まで校種の壁を越えて特別支援教育の実践をお互いに知る良い機会となり、参加者アンケートでも高い評価を受けたので今年度も開催する。
  5. 教育現場における保護者との連携体制の構築
    学校や教育行政機関に寄せられる多様な要望、対応に苦慮する要求・対応の実態把握などを調査分析し、その解決方法や処理方法について、学校や行政機関、保護者や地域機関の果たすべき役割を明らかにする。調査・分析及び解決・処理の方法については、報告書(実践マニュアル・実践事例集)にまとめ、学校経営方策の開発に資する。
  6. シンポジウムの開催
    教員養成に関するシンポジウムを現在までに3回開催(「地域と連携して先生を育てる」・「親の言い分・教師の言い分」・「地域と連携した新しい教員養成シンポジウム~先生を育てるシステム・伸ばすシステム~」)しており、今年度で4回目の開催となり、本学部の取り組みである「附属学校の活用」として附属小学校の1学級減を基にした3つのセンターの取り組みを主な内容として、「子ども・地域・学校で創る教員養成を語る―附属学校園をハブ化する―」と題し、本学と群馬県教育委員会との連携に係る協議会の主催事業として開催する。

実施事業等

  1. 小学校外国語活動モデルカリキュラム
    (1)現状の課題把握
    今年度は新学習指導要領全面実施の前年度であり、小学校の英語活動において解決すべき大きな課題を「小学校教員の指導技術の向上」と「小中の円滑な接続」と捉えた。小学校には英語活動の実施状況のばらつきが改善されるような支援を継続して行うとともに、中学校の英語教師への英語活動に関する情報の提供と小中間の連携の確立・充実への支援を施していくことが大切と考え、中学校英語教員と英語専攻学生を対象に意識調査を行った。
    (2)教員養成における取組
    高度な専門性を備えかつ実践に強い英語教員を輩出するため、英語指導主事および現職英語教員を実地指導講師として招き、「英語科教育法」の講義で年4回の実地指導等を行い、平成23年度採用群馬県教員採用試験における合格率が躍進した。
    (3)現職教員の支援に係る取組
    ①群馬県小学校英語活動推進協議会において、特に英語ノートの活用方法や評価の在り方等を軸に協議や研究を行い、実践推進校8校等の協力を得て外国語活動の授業を充実させるための「外国語活動の手引き」を作成した。
    ②県内の外国語指導助手(ALT)を対象に、効果的なティーム・ティーチング、教材の活用、日本人教師とのコミュニケーション等を主なトピックとして、外国語指導助手中間期研修会を平成22年11月に実施した。
    ③群馬県教育委員会との連携を根差し、教育現場への直接支援としてその要請に応えるため平成16年度から公開講座を実施しており、県内小学校教員を主な対象として平成22年7月26日(月)に行った。
    ④教育現場の支援を受け、伊勢崎市、太田市、伊勢崎市立三郷小学校、前橋市立元総社小学校、前橋市立大利根小学校等で講話やワークショップを市の研修や校内研修への支援として行った。
    (4)群馬県総合教育センターでの実践
    平成23年度から小学校英語活動が5・6年生において必修化されることで、英語教育は小学校から中学校、高等学校へと系統的につながることになるため、小学校と中学校の連携を踏まえて小学校英語活動の趣旨や目的についての講義や授業づくりに関わる研修として「小学校英語活動研修講座」を中学校の教員も交えて行った。
  2. 小学校における体育授業プログラムの開発
    普及委員会を組織し、今年度は5回開催して普及の方向性を検討した。さらに陸上運動領域プログラムの授業実践として7回の研修会を実施するとともに、本プログラムの授業実践について量的・質的側面の双方から評価した。
  3. 「子育て学習プログラム」における相互成長モデル構築
    今年度は「子育て学習プログラム」を保護者のニーズ及び、各学校のコミュニティの課題に応じて作成し、体験型の研修会をデザインして実践できた。実践発表において、プログラム作成を通した指導者の実践力の向上が見られた。
    また、こども総合サポートセンターでの実践では、ユニーバーサルデザインの視点からプログラムを作成し実践できた。
    以下に今年度の実践概要を示す。
    (1)シンポジウムの開催
     日時 平成22年6月19日(土)13:00~15:30
     会場 群馬大学荒牧キャンパス 大学会館2階ミューズホール
     参加者 51名
    (2)群馬学校教育相談研究会「実践交流発表会」
     日時 平成22年12月4日(土)10:00~12:00
     会場 県生涯学習センター
     参加者 41名
    (3)群馬大学子ども総合サポートセンターでの実施
     日時 平成22年10月20日(水)17:30~19:00
     会場 子ども総合サポートセンター
     参加者 17名
    (4)展開モデルによる研修講座
     日時 平成22年6月23日(水)、平成22年8月2日(月)
     「新しい体験型保護者会」の展開モデルにより、群馬県総合教育センター生徒指導相談係の研修講座「新しい保護者会運営講座」を開催した。
  4. 特別教育支援の充実
    特別支援教育の充実を図るため、平成23年1月6日(木)の13時から17時まで、県総合教育センターで実践交流会を開催した。実践交流会は、実践発表・講演・情報交換の3部構成で、参加者は約270名であった。
  5. 教育現場における保護者との連携体制の構築
    今年度は平成19年度から継続してきた研修会(講演、シンポジウム、ワークショップ)を継続し、保護者との連携の在り方に視点をあてた講演と実践発表の集いを平成22年10月30日(土)に開催するとともに、報告書として冊子にまとめて関係機関に配布した。研究活動としては、大阪大学で開催された学校保護者関係研究会に参加し、研究交流を進めた。啓発活動としては、県内の市町村教育委員会や学校関係者による研修会に講師等で参加し、「学校と保護者のいい関係づくり」について深め合った。
  6. シンポジウムの開催
    教員養成に関するシンポジウムとして、「子ども・地域・学校で創る教員養成を語る~附属学校園をハブ化する~」と題し、本学と群馬県教育委員会との連携に係る協議会の主催事業として、平成22年12月11日(土)に開催した。

期待される成果

本学部の専門性と、群馬県教育委員会の目指す方向性が教育現場のニーズに合致し、教育上の課題解決に大きく資することができ、群馬県地域における学校教育の改善・充実を図ることが期待できる。