平成30年度 入学式告辞

平成30年度 入学式告辞

 

 本日、入学式を迎えた新入生の皆さん、入学、おめでとうございます。群馬大学を代表して、皆さんを心から歓迎いたします。また、ご家族や関係者の皆様におかれましても、さぞかしお喜びのことと存じます。心からお祝い申し上げます。群馬大学のキャンパスがある前橋、桐生、太田は、赤城山、榛名山、妙義山の上毛三山が背後に控えた、自然に恵まれた土地です。群馬大学の徽章は、大学がこの上毛三山に囲まれていることを表しています。新入生の皆さんは、このような自然豊かな環境を生かして学問に励み、目標に向かって自らを磨いてください。

  さて、群馬大学には、世界に誇る特色として、昭和キャンパスに設置した重粒子線装置を用いる「がん治療」があります。この重粒子線装置は群馬県との共同事業として、100億円を越す巨費を投じて設置されたものです。大学の附属病院に設置された装置としては、世界で二番目、日本では唯一のものです。平成22年に装置が稼働して以来、2,600名以上のがん患者の治療とがん治療研究を行っており、先端的がん治療法として今後の発展が期待されています。このように、群馬大学は「群馬の地に根ざし、知的な創造を通して世界の最先端へとチャレンジし、21世紀を切り開いて行く大学」を目指しています。それでは、学部と大学院ごとに群馬大学を簡単にご紹介します。

 教育学部は、前橋市の荒牧キャンパスにあります。そのルーツを辿ると、明治6年、今から145年前に開設された小学校教員伝習所に行き着きます。これが同時に群馬大学のルーツでもあります。教育学部では、群馬県及び県内各市の教育委員会や小学校・中学校と連携しながら、一年次から教育現場での実習を体験するなど、実践的なカリキュラムにより先進的な教育を行っています。教職大学院を有する大学院教育学研究科では、高度な専門能力を身に着けた人材や、教員組織のリーダーとなる人材の養成を行っています。また、特別専攻科での特別支援教育プログラムもあります。小学校や中学校での先生の一言は、児童、生徒が自らの目標を決める際に大きな影響力をもちます。皆さんは、児童・生徒から尊敬され、慕われる立派な教員となるために研鑽を積み、大きく成長してください。

 社会情報学部、大学院社会情報学研究科は、社会の情報化を先取りする形で、それぞれ平成5年と10年に荒牧キャンパスに設置されました。近年のインターネットの発展やスマートフォンなどに代表される情報機器の進化には驚くべきものがあります。最近では、人工知能AIの発達やビッグデータを活用するデータ・サイエンスが、毎日のように話題に上(のぼ)るなど、大量の情報が発信され、活用される情報化社会が実現しています。社会情報学部はこのような情報化社会において、真に活躍出来る人材を養成するため 旧来の学問体系の枠にとらわれずに学修する複合的なコースを設定しています。また、これらをさらに発展させた高度なコースが大学院社会情報学研究科に設定されています。社会情報学部と大学院社会情報学研究科に入学された皆さんは、急激に変化する情報化社会をリードして行く実力を身につけてください。

 前橋市の昭和キャンパスには、医学系の学部や大学院、研究所があります。医学部は昭和18年に設置された前橋医学専門学校が、前橋医科大学となり、発展してきたものです。地域の医療や高度医療、さらに先端的医学研究を担い、医師、看護師、保健師、助産師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士などの医療人材を養成しています。医学部、大学院医学系研究科と附属病院では、チーム医療や医学研究のための学部・大学院連携コース、MD‐PhDコースをはじめとして、様々な教育プログラムが用意されています。大学院医学系研究科や生体調節研究所では、生活習慣病をはじめとする病気の原因解明や治療に向けて、分子生物学的手法を用いた先端的研究が行われています。附属病院は、平成26年に判明した医療事故により、患者やご家族の皆様にたいへんなご心痛とご迷惑をおかけしましたが、地域医療の基幹病院として、患者さんお一人おひとりに、安全・安心で質の高い医療を提供すべく、「先端医療開発センター」と「地域医療研究・教育開発センター」を設置して改善に努めています。医学系研究科においても「医療の質・安全学講座」を設置して教育体制を整えています。医学部や医学系研究科に入学する皆さんは、医療技術の修得のみならず、医療の倫理をしっかり身に着けて医学の勉強に邁進してください。大学院保健学研究科は平成23年に設置されました。これまで行ってきたチーム医療のグローバルな推進活動により、群馬大学は世界保健機関 WHOから日本で唯一の、チーム医療に関するコラボレーティングセンターに指定されています。保健学研究科に入学する皆さんは、このような国際的な環境の中で学び、患者さんの期待に応えられる医療人となってください。

 理工学部と大学院理工学府は、桐生市と太田市にキャンパスがあります。理工学部は、大正4年に開設された桐生高等染織学校から発展してきたもので、今年で103年目を迎えました。理工学部と大学院理工学府では、低炭素社会や省エネルギー社会を実現するテクノロジーの研究や防災の研究など、様々な研究を行っています。また、「サイバー技術」と「ものづくり技術」を統合して実現する、いわゆる『第四次産業革命』の基盤となるテクノロジーの研究も行っています。理工学部と大学院理工学府に入学する皆さんは先端的な研究に触れ、あるいは自ら研究に参画することを通して、次代を担う科学者、技術者としての基盤を作ってください。群馬大学では、この外にも、時代の大きな変化に対応する教育研究を実践するために、一昨年には、次世代の自動運転自動車の社会を目指す次世代モビリテイ社会実装研究センターを設置し、また、昨年12月には来るべき超スマート社会の基盤となる教育研究の拠点として数理データ科学教育研究センターを設置しました。さらに、本学と群馬県の特色を活かした地方創生を目指して、食健康科学教育研究センターを立ち上げています。

 さて、学部新入生の皆さん、現在、日本社会はサイバー空間と現実空間が融合する超スマート社会へ移行するという『大変革の時代』にあります。急速に変化して行くこれからの時代を生き抜くためには、豊かな人間性と高い専門能力が必要です。また、異分野を理解し俯瞰的視野を持って考える力やコミュニケーション力などが不可欠です。皆さんは、専門教育の前に、まず、教養教育を荒牧キャンパスで受けることになりますが、緑豊かな荒牧キャンパスでの一年間を有効に使い、豊かな人間性を養って社会で活躍するための学士力の基盤を作ってください。大学院や専攻科に入学する皆さん。皆さんは、これまでに培った人間性や知識・技能をさらに高め、社会をより良い方向へと革新していく実力を身につけたリーダーとなってください。 さて、海外からやって来た留学生の皆さん。皆さんは、時に自分の国と日本の文化の違いで困惑することもあるかと思います。その時は、遠慮することなく、周りにいる教職員や学生に相談してください。大学も国際センターを通じて、修学、生活の両面から、皆さんを積極的にサポートして行きます。日本人の皆さんも、留学生の皆さんと相互理解を深め、友情を育んでいただくことを期待します。大学本部のある荒牧キャンパスからは広い裾野を持つ赤城山が見えます。このように高い山は大きな裾野を持っています。皆さんも、群馬大学で学び、自分の中に裾野の広い「知の基盤」をつくってください。そして、大きな変革の時代を迎えている日本や世界で、リーダーとして活躍する人物となるよう、研鑽を積んでください。

 本学では、最近、「群を抜け 駆けろ 世界を」という、キャッチフレーズを作りました。皆さんがこの「群を抜け 駆けろ 世界を」というフレーズの心意気で、世界で活躍する人物となることを期待します。 結びに、これから始まる群馬大学での日々が、皆さんにとって実り多いものとなることを祈念致しまして、入学のお祝いの言葉と致します。

 

平成30年4月5日

群馬大学長 平塚 浩士