平成28年度 入学式告辞

平成28年度 入学式告辞

 本日、入学式を迎えられた新入生の皆さん、入学、おめでとうございます。群馬大学を代表して、皆さんを心から歓迎いたします。
 また、ご家族や関係者の皆様におかれましても、さぞかしお喜びのことと存じます。心からお祝い申し上げます。

 群馬大学のキャンパスがある前橋、桐生、太田は、東京から約100kmの地点にあります。いずれも赤城山、榛名山、妙義山の上毛三山が背後に控えた山紫水明の地にあり、豊かな自然があります。群馬大学の徽章は、この上毛三山に囲まれて、群馬大学があることを表しています。また、大学のロゴマークも、このような豊かな自然をイメージしています。
 群馬大学の学長を12年以上にわたり務められた初代学長の 西 成甫先生は、「世界的な大学は必ずしも大都会にあるとは限らない。ケンブリッジを見よ、ハイデルベルグを見よ。真の学問はむしろ落ち着いた田舎の大学街に栄えることを、県民諸氏も、また特に学生諸君も共に知っていただきたいものと思う。」と記されています。新入生の皆さん、ぜひとも、このような地理的な特徴を活用し、群馬の自然豊かな落ち着いた環境を生かして学問に励み、じっくりと自らを磨いてください。
 
 群馬大学が世界に誇る特色として、医学部のある昭和キャンパスに設置した重粒子線装置を用いた、がん治療があります。この重粒子線装置は100億円を超す巨費を投入し、群馬県との共同事業として設置されたものです。大学の附属病院に設置された装置としては、世界で2番目、日本では唯一のものです。平成22年に治療を開始して以来、約二千名のがん患者の治療を行ってきました。
 群馬大学は、この重粒子線治療を核とした大学院博士課程教育リーディングプログラムや、ハーバード大学やカロリンスカ研究所など海外の大学、研究機関の協力を得て設置した「未来先端研究機構」の共同研究を通じて、世界的ながん治療の教育、研究拠点へと発展しつつあります。

 それでは、学部と大学院ごとに群馬大学を簡単にご紹介します。
 教育学部は、前橋市の荒牧キャンパスにあります。そのルーツを辿ると、明治6年、今から143年前に開設された小学校教員伝習所に行き着きます。これが同時に群馬大学のルーツでもあります。教育学部では、群馬県及び県内各市の教育委員会や小学校・中学校と連携しながら、1年次から教育現場での実習を体験するなど、実践的なカリキュラムにより先進的な教育を行っています。
 教職大学院を有する大学院教育学研究科では、高度な専門能力を身に着けた人材や、教員組織のリーダーとなる人材の養成を行っています。また、特別専攻科での特別支援教育プログラムもあります。
 小学校や中学校での先生の一言は、児童、生徒が自らの生き方を決める時に大きな影響力をもちます。皆さんは、児童・生徒から尊敬され、慕われる立派な教員となるために研鑽をつみ、大きく成長してください。

 社会情報学部、大学院社会情報学研究科は、社会の情報化を先取りする形で、それぞれ平成5年と10年に荒牧キャンパスに設置されました。近年のインターネットの発展やスマートフォンなどに代表される情報機器の進化には驚くべきものがあります。大量の情報が自由に発信され、活用されると云う、かつて経験したことがない情報化社会が形成されています。
 また、人工知能やビッグデータを活用するデータ・サイエンスが話題に上(のぼ)っていますが、本学でも社会情報学部を中心にこれに対する取組が企画されています。社会情報学部はこのような情報化社会において、真に活躍出来る人材を養成するため、旧来の学問体系の枠にとらわれない複合的、個性的なコースを設定しています。
 社会情報学部と大学院社会情報学研究科に入学された皆さんは、急激に変化する情報化社会をリードして行く実力を身につけてください。

 前橋市の昭和キャンパスには、医学系の学部・大学院や研究所があります。医学部は昭和18年に設置された前橋医学専門学校が、前橋医科大学となり、発展してきたものです。地域の医療、高度医療、さらに先端的医学研究を担い、医師、看護師、保健師、助産師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士などの医療人材を養成しています。
 医学部と附属病院では、チーム医療や、医学研究のための学部・大学院連携コース、MD‐PhDコースをはじめとして、様々な教育プログラムが用意されています。
 また、大学院医学系研究科や生体調節研究所では、生活習慣病をはじめとする病気の原因解明や治療に向けての先端的研究などが行われています。

 一昨年に、本学附属病院の医療事故が明らかになり、社会にご迷惑とご心配をおかけしていますが、地域医療の基幹病院として、信頼を取り戻すべく、現在、附属病院の医療安全管理体制の改善に努めています。さらに、この基盤となる医学系研究科の教育・研究体制の整備にも取り組んでいます。医学部や医学系研究科に入学する皆さんは、医療技術の修得のみならず、医療の倫理をしっかり身に着けて医学の勉強に邁進してください。

 大学院保健学研究科は平成22年に設置されました。これまで行ってきたチーム医療推進活動のグローバル化を図ったことにより、群馬大学は国際連合の専門機関である世界保健機関(WHO)から、チーム医療に関して日本で唯一のコラボレーティングセンターに指定されています。保健学研究科に入学する皆さんは、このような国際的な環境の中で学び、患者さんの期待に応えられる医療人となってください。

 理工学部と大学院理工学府は、桐生市と太田市にキャンパスがあります。理工学部は、大正4年に開設された桐生高等染織学校から発展してきたもので、昨年、記念すべき創立100周年を迎えました。理工学部と大学院理工学府では、低炭素社会や省エネルギー社会を実現するテクノロジーの研究や、防災の研究など、様々な研究を行っています。また、サイバー技術とものづくり技術を統合して実現する、いわゆる第4次産業革命の基盤となるテクノロジーの研究も始まっています。理工学部と大学院理工学府に入学する皆さんはこのような研究に触れ、あるいは自ら研究に参画することを通して、次代を担う科学者、技術者としての基盤を作ってください。

 さて、学部の新入生の皆さん。急速にグローバル化し、変化して行くこれからの時代を生き抜くためには、豊かな人間性と高い専門能力が必要です。そのためには異分野を理解し、俯瞰的視野を持って考える力やコミュニケーション力などが不可欠です。
 皆さんは、専門教育に入る前に、まず、教養教育を荒牧キャンパスで受けることになります。教養教育では、英語教育をはじめとして新しい時代に合わせた改革が進行中です。
 特に、グローバル人材を育成するために、海外協定大学との英語研修をはじめとする様々な交流プログラムが実施されています。緑豊かな荒牧キャンパスでの1年間を有効に使って、豊かな人間性を養い、社会で活躍するための学士力の基盤を作ってください。
 大学院や専攻科に入学する皆さんは、これまでに培った人間性や知識・技能をさらに高め、社会をより良い方向へと改革していく実力を身につけてください。

 ここで、留学生の皆さんにエールを贈りたいと思います。留学生の皆さんも、これから本学で勉学に励んで行く訳ですが、時に自国の文化との違い等で悩むことがあるかも知れません。その時は、遠慮なく周りにいる教職員や友達に相談してください。大学も国際教育・研究センターを通じて、修学、生活の両面から、皆さんを積極的にサポートして行きます。日本人の皆さんも、留学生と相互理解を深め、友情を育んでください。

 さて、学部一年次で学ぶ、荒牧キャンパスからは広い裾野を持つ赤城山が見えます。このように高い山は大きな裾野を持っています。皆さんも、群馬大学で学び、自分の中に裾野の広い「知の基盤」をつくりあげてください。そして、大きな変革の時代を迎えている日本や世界をリードし、グローバルに活躍できる人物を目指して研鑽を積んでください。私たち教職員も一体となって皆さんとともに歩んで行きます。

 結びに、これから始まる群馬大学での日々が、皆さんにとって実り多いものとなることを祈念して、入学のお祝いの言葉といたします。

平成28年4月5日

群馬大学長 平塚 浩士